2018年の年明けに2年間の豪州滞在を終えて日本に帰国した増田隆明選手について書き留めたいと思います。増田選手は、2016年から2017年終了まで2シーズンに渡ってゴールドコーストでサッカーをしました。 増田選手は割と近年まで日本人選手が比較的少なかったゴールドコーストエリアでプレーした選手でもあります。初期シーズンの所属先は、今やゴールドコーストエリアで名実共に最も大きくなったと言っても良いゴールドコースト・ナイツFCでした。ナイツは、そのクラブ施設・育成規模・トップチームの戦力などから来年から豪2部相当のNPLに自動昇格が決定しています。 増田選手が2016シーズンに加入した時、ナイツはGCPL(ゴールドコースト・プレミアリーグ・豪3部相当)の下部に当たるコーストリーグでした。増田選手の初期シーズン(2016)にクラブはGCPLに昇格。昨年(2017)はGCPLでもナイツはリーグ優勝し、協会からNPLの昇格を打診されるまでポテンシャルを見込まれるクラブに成長しています。 選手としてだけでなく育成コーチを経験したり、現地で一生懸命働いて、ビジネス学校にも通った増田選手の波乱万丈とも呼べる2年間を以下の質問と共に振り返りたいと思います。 Q1:オーストラリアに来た理由・滞在期間 それまでの人生で培って来た自分の力を海外でも通用するのか試してみたかったからです。それは、サッカーはもちろんのことですが、ひとりの人間として海外の人とも同等に渡り合って行けるかを試してみたかったのがオーストラリアに来た一番の理由です。滞在期間は約2年間にわたりました。 Q2:所属クラブ・所属リーグ・チーム実績・個人実績 2016-2017途中: Gold Coast Knights (2016 Coast League レギュラーシーズン 優勝/グランドファイナルステージ 優勝) 2017シーズン途中- (*GCPLのBurleigh Heads SCに移籍): Burleigh Heads Soccer Club (2017 GCPL レギュラーシーズン 4位/グランドファイナルステージ 3位) Q3:オーストラリアサッカーと日本サッカーの違い 両者は180度違います。日本では上手い選手が重宝されますが、オーストラリアサッカーでは戦える選手が評価されます。オーストラリア人はあまり上手くはありませんが、一つ一つのプレーが非常に力強く見ている人もやっている自分たちもすごく熱くなれる舞台です。試合が終わると非常に充実感を覚えました。 Q4:チャレンジ当初のGCPL, Coast Leagueをはじめとした日本人選手の立ち位置。それから2-3年経過した現在のリーグ全体の印象は? 僕が来た当初、日本人選手に試合であったことはありませんでした。そのためか、チームメイトも物珍しそうにチームの輪に入れてくれてすぐに馴染めたと思います。しかし自分にとっての2シーズン目以降は、各チームに1人は日本人選手がいたように感じます。そして各チームで同じ日本人選手が頑張った甲斐あって、それぞれがチームの欠かせない選手にそれぞれなっていき、リーグも以前より盛り上がって来たように思います。 Q5:オーストラリアでサッカー、生活をしたことでどのような成長・変化・目標が自分の中に感じ取れたか? オーストラリアでの生活から成長を感じる所は、「違いを受け入れて対応する力」です。最初オーストラリアに来た時は、日本との違いにすごく悩みました。「日本ではこれでいいのに!なんで同じことしているのに上手くいかないんだ!」といった感じです。これではダメだと思い、彼らの文化、価値観を理解しようとしました。そこからは、こんな考え方もあるのか!ここは相手が悪い。だから上手く伝えてよくなるようにしよう!とポジティブに違いを受け入れた事で自分自身楽しくなったし、自然と周りに人が増えていった気がしています。違いがあるからこそ相手に興味を抱くし、そのいろんな個性が集まっている集団だからこそ面白い集団なのだなと強く感じました。 しかし、日本ではまだまだ違いを受け入れるという環境は整っていないように感じます。長い歴史の中で日本人は各国の影響を受けずに自分たち独自の文化でここまで登ってきました。それらは大きな文化遺産でもありますが、同時に変化が激しい今日の世の中では少しそれが足かせになって新しい発見や挑戦、個性を伸ばすという所を妨げているのかなと感じます。そこから、僕は個性を伸ばして世界に羽ばたける様な子供達を育てる教育者になる事を夢見るようになりました。そこに向かって今必要なことをしていきたいと思います。 Q6:オーストラリアサッカーの環境・待遇・生活する上で覚えた仕事環境や現地商業関係の実態 オーストラリアのサッカー環境はすごくいいと思います。地域に1つはサッカークラブがあって、まだまだクラブ運営の点で問題はあるものの、ジュニアからトップまで地域の人や外国人が集まってワイワイやっている感じが好きです!トップチームの試合をビール片手に野次を飛ばして盛り上げてくれるサポーター達にも感謝しています。 仕事に対しても、大多数の人が家族や自分の趣味の時間を一番大切にしつつ、非常に心に余裕を持って生活しているという印象です。日本人からすると少し彼らの生き方は羨ましい所があります。 現地商業はそんなに発展しているようには思えませんが(オーストラリア人は日本に比べてがつがつ働かないので。笑) 、みな自分の好きなことで一生懸命成り上がろうとしていると姿は輝いて見えます。 Q7:2年前の自分と今の自分を比べて Q5でも書きましたが、違いを受け入れることや、適応していく力は2年前よりもついたと思います。あとは、日本人としての誇りがすごくつきました。オーストラリア滞在期間中、自分は、ある意味お客様扱いの留学生としてではなく、一人の選手として現地の人と触れようとしてきた自負があるので、良いことばかりでなく、外国人にひどいことを言われたことも、バカにされたこともありました。そういった中で日本人だからといって負けていられない。対等に渡り合っていかないといけないという思いは強くなりました。まさしく、豪侍(*「豪州に生きる侍」を意味)になったという感じですね。笑 Q8:オーストラリアで最も印象に残っていることBEST 3(サッカー編) 第3位:リーグ最終節 対Knights戦 1-4で負けましたが、リーグチャンピオン相手に前半は押し込む場面もあり、自分たちの持ち味が出せた。豪侍の三上氏とのマッチアップも白熱だった。試合後は、監督にMVPにも選んでもらった思い出の試合です。 第2位:リーグ4位圏内のグランドファイナルステージ進出を懸けた直接対決でのリーグ戦初ゴール 対Plam Beach戦: リーグ戦の中でもかなり出来が悪い中、先に失点するも自身の肘に当てたゴールで同点。さらに、そこから逆転。ターニングポイントになったゲームでした。 第1位:グランドファイナルの準決勝 対knights 戦 自身のオーストラリア最後の試合になったこの試合 YouTubeで生中継された為、日本で両親と彼女も見てくれました。異国の地で、あのカメラの向こうで応援してくれる人がいるという状況下で試合ができることは、中々ないのですごく身が引き締まりました。0-2で負けましたが、シーズンで一番良いゲームの出来だったと思います。 Q9:オーストラリアで最も印象に残っていることBEST3(生活編) 第3位:自分の車を持って生活をしたこと 日産のPulsar。すごく思い入れができました。半年での走行距離は2万キロ。1週間平均750キロでした。 第2位:ゴールドコーストで売り上げ第1位の寿司屋で二年間、ブリスベンの有名ラーメン屋で四ヶ月働いたこと 両店長共に人情味があって、熱い男でした。 第1位:オーストラリア来豪初夜 オーストラリアに着いたその日にサッカーの練習に参加し、その際に、”Hello, how are you?”と聞かれて、”I’m fine thank you and you?”という日本で習うまさに、「ド定番英語」を言ったところ、大爆笑されたこと。ここから英語を学ぶことに火が着くと共に、日本の英語教育を将来的に変えていきたいと思うようになりました。 Q10:今後の人生の豊富(オーストラリアとの関係も含めて) まず、この留学に関わってくれた全ての人たちに感謝の気持ちを伝えさせていただきたいです。ありがとうございました。本当に、多くの人に関わってもらってここまで来れました。チャンスも沢山いただきました。 豪侍代表の三上さんをはじめ、大槻さん、Knightsのコーチ陣、Burleighのコーチ陣。KnightsとSamford FC(弊社が関わっている地元クラブ)ではジュニア年代のコーチングもさせていただきました。また、バイト先の寿司屋さんとラーメン屋の店長をはじめとした従業員の方々、臨時先生として参加した日本人学校の先生方、お家を提供してくれたオーナーの方々、他にも色々な方々の協力あってゴールドコーストとブリスベンの生活が大いに有意義なものになりました。感謝いたします。 今後は日本で世界に通用する人を育てる教育者になるのが僕の夢です。そのためにさらに自分に試練や経験と言ったスパイスを振りかけ、一歩ずつ近づいて行きたいと思います。その経験を元に子供達を世界に出ても通用し、グローバルに戦える人間に育てて行きたいと思います。 増田選手、2年間本当にお疲れ様でした。公私ともに沢山の時間を共有出来たのは、選手側そしてサポート側の立場を裕に超えた本当に熱く切磋琢磨できるものでした。この年齢で、今しかないこのタイミングで、これだけの経験と時間を培ったのだから、きっとこれからも増田選手らしく明るくポジティブに道を切り開いて生きていく事と思います。日本での残りの学生生活と新しい社会人生活を通して引き続きの充実と成長を切に祈っています。オーストラリアでの素晴らしい出会いと時間を沢山見せてくれて、本当にありがとう。 豪侍/Go Zamurai 三上 隣一 Go Zamurai / Soccer / Player Management / GCPL / Gold Coast / Australia
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October 2022
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